愚痴/……とある蛙
無性に活字の大きい本を読みたくなつた。老眼だから。出来れば薄つぺらい本がよい。根気が続かないから。一五〇頁位が手頃だ。しかも中身が空疎なものがよい。血の巡りが悪くなつて頭まで血が行かないからだ。重要なことばかり書かれてゐると眉間に皺がよつてくる。眉間に皺がよつてくるとそれでなくとも貧相な顔が益々陰気になつてくる。中身は書いてる奴の身の回りのことだけでよい。どうせ世間のことなんか興味もないからだ。もちろんそいつの身の回りのことも興味はない。そんなことを考へてゐたら読む本が詩集くらひになつてしまつた。しかも思ひつきり陳腐な奴がよい。。結構知的に見えるかも くつくつくつ。今さら女でもないのだが、ゐくら
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