なまぬるい嘘/AquArium
なまぬるい浴槽は
たいていの私の体温を許容する
魚が泳げるくらいの
水質で呼吸をする
ああ
この浴槽の水がすべて
蒸発してしまうのはいつだろう
それは、
とても怖い
この水が干からびないように
水を注ごうとして
溺れてしまう、
私の脆い手足
皮膚がふやけるくらい
浸かってみても
溶けることができないまま
身体は冷たくなる
ああ
熱くも冷たくもならない
頑固な水温が憎いな
いつだって私を
呪って動けなくする
強力な、
ブラックホールが
吸いこもうとする力に
抗いながら
なぜかほほ笑む
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)