かなしみ/深水遊脚
 
詩にかなしみは必要ない
詩人がかなしげである必要はない
でも思い込みの枠を外す
鍵を手に入れるには
かなしみが必要なのかもしれない


詩は沈黙

そうである必要はない
誰でも入れる部屋がいい
誰もがほっとできる部屋がいい
でもそんな部屋でも
土足であがり込むことはしない
鍵のついた部屋は
無理に入ったりはしない
見せてもらうように頼めばいい
頼むのだって仕方がある
「見せてもらって当然」といわんばかりの
強引な態度は論外としても
言葉たくみに
部屋の主をいい気持ちにさせて
鍵つきの部屋に案内されても
「見せてもらって当然」が本音である限り
君はまた
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