おじさんは笑ってた/板谷みきょう
 
これからの時代は
中卒だけでは
仕事に就けないと
頑固で怖かった親父に諭され
反抗することもできず
集団就職の夢を
敢え無く断念した

フォークシンガーになったのは
世の中に拗ねてたことと
普通にいるのが
身悶えするくらい
気恥ずかしかったからだった

中学を卒業する頃は
高度経済成長の時期で
集団就職で東京に行こうと
山森君と二人で話し合っていたのに

進学組みと就職組みに
分けられた気まずい教室で
結局
山森君だけが
上京することになった

ウディ・ガスリーの歌を聴いて
ホーボーに憧れたはずが
本当にお金が無くなると
空腹に駅の構内で

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