更地を転がれブルートレイン/ホロウ・シカエルボク
 
んて努力でどうこう出来るような代物じゃないんだぜ、それはアンテナの違いなんだ、それと解釈の…


今ではもう名前が変わってしまったドラッグストアの薄暗い化粧室で僅かな食物を嘔吐した朝のことを思い出した、あれは確か20代の前半のころのことだった、そんなことを思い出すのはきっと昨日あの店のあるあたりを散歩したからだ、暑い季節だった、でも真夏じゃなかったな、汗がだらだらと流れるほどの気温ではなかった、きっと初夏の頃のことだろう、クラクラと朝から目眩がして、「どうしようもない」って仕事を休ませてもらったんだ、下らない汚れ仕事だった―下らなくない仕事なんか生涯で一度もしたことが無いけど―ともかくその
[次のページ]
戻る   Point(1)