石狩海岸の海水浴場の思い出/板谷みきょう
泳げなかった
けれども
病院の先輩に誘われ
三人で行った
一頻、海に入ったりした後
浜辺で各々、勝手に休んでいたら
浜辺が騒がしくざわついている
海で溺れた人が出たのだ
状況を知ると先輩は
脱兎の如く駆け出した
一人は119番通報をしに
公衆電話ボックスへ向かい
ボクは
大急ぎで先輩について行った
溺れた人を水際に引き上げ
先輩は
自分たちが看護師であることを告げ
医療関係者が居ないか
大声で聞きながら
「板谷!蘇生!」
と言った
唇の色も無くして
息もしていない男は
胸骨圧迫で水を吐き出した
人工呼吸の必要を感じたが
泡状
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