小さな旅立ち/花形新次
君が自力通学を始めた
家のドアを開けるところから
養護学校の門をくぐるまで
たった独りで
独りっきりで
君はもう17歳なんだし
大したことはないじゃないかと
他の人は思うだろうけれど
ここまで来るのは大変だったんだよね
ママはずっと前から
「この子は絶対に大丈夫、絶対に独りでできる」って
確信していたんだ
でも男親の僕のほうがビビリなもんだから
なかなかそれを許さなくて
それに、去年はあんなことがあったしね・・・・
君が異変に気付かないで
ポツンと取り残されて、立ち尽くす姿を想像すると
それだけで胸が張り裂けそうになったんだ
だから学校の行き帰り
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