永久凍土のバーゲンセール/salco
 

双頭の切望が果たされる日への期待と不安にわなないて
診察台の上から降り
足運びに気遣いつつ明るい出口へと向かう
そのスリッパ履いた足の下
ワックスと蛍光灯にテカる床の下
中絶天国の下水管を
断たれて掻き出された胎児達の血が消毒液と共に流れ
容器に人れた傷だらけの骸が裏口から
胞衣(えな)屋の手で今日も運び出される
誰にも歓迎されず
臍の緒を断ち切られた厄介者達は
人間仲間の墓にも入れず
地を汚しもせず
忘れじの生ゴミとして人知れず焼却される
存在をさえ否定されるべき者達に
この世の居場所があろう筈もない


世の中には様々な親の予備軍がいて
彼らは全て
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