薄氷の空/涼深
諦めることばかり上達していくよう
叶わぬ願いは歪み、捩れ
それでもなお純度を増していく
あぁ、
失った痛みは
今も鮮やかにこの身を切り付ける
仰いだ空からひとひらの雪
足元の街並は遠く小さく
貴女との境界線を曖昧に描いた
感覚無くしたつま先
空へと踏み出す
――はらり
舞い落ちる、約束――
白い雪は熱に触れ、水へと還る
繰り返す呼吸に
痺れる指先に
街のざわめきに
時計の針は動き出す
壊れそうな薄氷の空
舞い散る雪の華
いつか終わりへと繋がっていく
それは鮮やかな白に彩られた
貴女を近くに感じる季節
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