薄氷の空/涼深
――薄氷の空
貴女を攫う雪の華が綺麗で
ただ見つめることしかできない
世界を彩った、鮮やかな白
凍える大気
震える太陽
足下の街並みは雪に沈む
何一つ変わらない朝
貴女がいないということさえも
何一つ、変わらない
空は高くなり
風は鋭く
巡る季節が葉を散らす
戻りたい場所は一日ずつ遠ざかる
貴女が消えたあの日から
幾つの季節が巡ったのか
吐き出す息が白くなるほどに
焦燥は加速していく
風に晒され冷え切った皮膚の下
流れる血が凍りつくほどに
抱えた夢が放つ香りは甘く
辿り着く先を持たない魂は
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