二筋の河/アラガイs
引き潮に導かれ
薄い月が振り返る
人工呼吸の息づかいが闇のなかで躍る
世界は終息だけを待ち続けていたのか
廊下を隔てた昼と夜の現実
涙はいつもシビアに朝を迎え入れた
(蒼白く
分け隔てのない一筋の道へと流れ )
病室から咳き込む声に
様々な書き消された耳を目で塞ぐ
中洲から浅瀬を探る
偶然に生きた標も在りはしないかと
君は河原の小石をひとつと拾う
繰り返される涙は渇き
稜線へと下る道
時間だけを置き去りにした
幾つもの出会いと別れ
…海はつながりゆく銀色の波…
これから門を見送り/後にする人たち
もう笑い声はシグナルに届くことはない
…河は廊下を隔てて
二度と出会うことのない朝と夜
(あの日)静かに迎え入れた月
見下ろす//大地の流れよ 。
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