自身を咬むプロキオン/木立 悟
花に目を閉じ
花に冥らず
おのれに見ひらき
立ちつくす
何かが緩やかに異なる日
顎の原からうなじの天へ
かみ合うもの無く廻る歯車
巨大なひとつの 宙の歯車
昼の半分に白く立ち
午後の行方を見つめるもの
音楽 音楽
花になれずに
秘密を暴く 茎の手のひら
唇と唾の輪のように
音と道は消えてゆく
ひとり残された機械の音
過ぎ去る片目の鼓動追う音
発電所でもあり
映画館でもある建物が
街を見下ろす丘に座り
空をいつも昼にしている
灰と黄緑を
行き来する花
光を透さぬ服の雨
青はそそがれ 流れ伝う
白
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)