青の別離/塔野夏子
 
夜の底
白いテラスで
まるで一粒の水滴になったような気持ちで
佇む
この心は何かから
別れてゆこうとしているのだ
何からなのかはわからないが
さびしく はるかに
遠ざかってゆこうとしているのだ

夜空には透明な鍵盤がある
それを奏でる指は誰のものか知らず
それを奏でる音色はこの耳に届いてはこない

(いつかの夢のなかで たぶん きっと)

遠い地平を
幻のように列車が過ぎる

さよなら
さよなら
何に別れたのか知るのは
此の世から一粒の水滴となって
何処かへ落下するその時かもしれない





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