自由と愚者と風と/ただのみきや
わたしは愚者を代表して 今日
自由と愚者と風についての箴言をここに記す
自由とは
どんな法則よりも 尊く
厳粛な 掟である
死を予感させる風が吹き
枯木たちは一斉にガサガサと喋りだす
自分たちの雄弁に得意になって酔いしれてはいるが
風に操られているだけであることを
彼らは知らない
やがて 沈黙
今も昔も変わらず
空高く上げられた凧たちは
古からの問いかけに
自らの糸を切る
何者にも支配されずに
自分の望むままに大空を舞いたい
だが
自由と
全能は
同義語ではない
存在の
意味と目的とのつながりを断ち切った
凧たちは
沼には
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)