自由と愚者と風と/ただのみきや
 
わたしは愚者を代表して 今日
自由と愚者と風についての箴言をここに記す

自由とは
どんな法則よりも 尊く
厳粛な 掟である

死を予感させる風が吹き
枯木たちは一斉にガサガサと喋りだす
自分たちの雄弁に得意になって酔いしれてはいるが
風に操られているだけであることを
彼らは知らない

やがて 沈黙

今も昔も変わらず
空高く上げられた凧たちは
古からの問いかけに
自らの糸を切る

何者にも支配されずに
自分の望むままに大空を舞いたい

だが
自由と
全能は
同義語ではない

存在の
意味と目的とのつながりを断ち切った
凧たちは
沼には
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