みぎみみ/灰泥軽茶
 

いつのまにか捨てられてなくなったことにも
気づかないでいたことを思い出した

それからなにかの拍子に
おもちゃの鉄琴のメロディは聴こえてこなくなったが
かたつむりの殻からはいつでもいつまでも続く
楽しげで柔らかいメロディが聴こえてくるので
綿を敷きつめた木の箱に入れ
家に大事にしまい宝物にし
気持ちが落ち込んだ時などは
そぅっと耳を傾け目を閉じ
遠く忘れてしまった懐かしい頃を思い出す















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