帰郷/aria28thmoon
 
わたしがこの街にやってきてから、もう1年が過ぎようとしています。
未だにこの大都会には目が回ってしまいそうなときがあったりもするのですが、それでも大分慣れたもので、巨大なビルの群れやびかびか光るネオンなども、好き好むとまではゆかなくとも当たり前の風景として認識することは出来るようになりました。

終業式を終えた帰り道、このビル群の中でも時折春らしい風を頬に感じるのですが、その空の陽光とはうらはらにわたしの心はあまり晴れやかなものではありません。
この春休みに田舎に帰るのが嫌なわけではないのですが、いえ、むしろ久々に父母と過ごす春休みはとても楽しみなのですが、ある方にお会いする心の準備がなか
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