雲と坂道のデッサン/石川敬大
非定型な雲は生硬な定型でしかない
ぼくを尻目にとりとめがない
ぼくのO市
かのじょのN市
どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
川が
なにかにむかって傾斜している
坂道の両端は
水っぽい空と海である
アクセサリー
付属品
展望台と港湾施設と船はそのようにある
きょうも概ね大過なく
ただ一度きりの雲がながれて
ぼくは
どうしようもなく水っぽい
抒情的な存在であることをやめることができない
ぐらりとぼくが傾くと
傾いた端からぼくを捉えにくるものがある
それが
定型の特徴だ
とりとめのない雲がそう告げる
坂道の尖端は
たぶんひややかな海峡
反対側は
どこまでいっても水っぽいあお空
稚拙な坂道で
ぼくは
とりとめのない雲をおもう
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