付箋/はなびーる
 
ぼくは栞になりたかった
図書館の本にそっと挟まったままの

あるいは
だれかが思いをこめて忍ばせた
四つ葉のクローバーに
あるいは
はからずも頁の上に落とされた
乾いた涙の跡に

ぼくを見つけたひとは
前に読んだだれかの
こころの波紋をなぞる、物語を紡ぐ
もしかしたら…恋焦がれる
ぼくはぼくであることをささやかに悦ぶだろう

けれど
ぼくはたいていベージュやパステル色の
地味で無粋な長方形のぺらぺらの紙
こんな姿には飽き飽きする
(最近はキャラクターの絵のものもあるけれど)
もうすこしお洒落にならないものか

もっと気に入らないことに
あるとき、理不
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