少女の合計/
カンチェルスキス
11月の珍しい雨
暖かく 枯れ葉は勇み足
駅からの小道
うたを忘れた
鞄の少女は
傘も持たず 泣いていた
両手は鞄でふさがり
ブラウスの肩は
濡れはじめる
錆ついた歩道橋の上 こえた
電車の音は
少女だけを残す
雨か涙か もう
わからなくなった
少女のいつもは 学校の
靴箱の片隅で
明日開けるまで
忘れられるだろう
ゆるやかな坂道
尽きるところ
少女の背中
追い越していった
ジョギングの人の
荒々しい息遣い
戻る
編
削
Point
(3)