Your sentence/Debby
った書類の前で頭を抱えている。そして雨は降り続ける、一日が過ぎていく。
カメよ眠れ
ミシシッピ・アカミミガメを死なせてしまったことがある君は、今ではそれなりに命を大事にするべきだという考えを持っている。プラ・ケースの水槽で白かびだらけになったカメのことを思い出すときのあの、ほんの僅か胸に訪れる軋みが、夕暮れの部屋を揺らしている。君は、ずっと昔こんな風だった。悲しいことがあれば大きな声で泣き、楽しいことがあれば底抜けに笑った。誰もがそうであるように、君もきっとそうだった。世界は君のことが好きだったし、君の方も世界に対してそんなに悪い感情を抱いているわけではなかった。車が走り抜けていく
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