夢の中の硝煙の臭いが、ときどき鼻をつくことがある/ホロウ・シカエルボク
大人だから
そういう傷つき方がお手の物なのさ
そしていつのまにかべっとりと汚れていた自分の両手に気付いて
喉に手を突っ込みながら無言の絶叫をするんだ
ねえ、きみの運命というやつが
汚物のように渦を巻きながら下水管へと流れていく
それを見下ろしながらきみは何を思うだろう
どんなふうにつくろえばそのことを恥ずかしいと思わなくて済むのか
そんな風なことを考えるかもしれない
そして
小さな窓から空を眺めながら
世界が君を見放したと感じていることについていくつかのフレーズを頭の中に覚書きするんだ
ねえ
今夜も寒いみたいだから
きっと
月は綺麗だよ
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