メランコリア/faik
 
形あるものいつかは壊れる
じゃあ少しずつ変化させましょ
丸いものには角を足し
四角いものにはやすりをかけて
それで続いていくのなら
素敵なことじゃあありませんか

行かないで、希望の贋作
張ったら剥がせばいいじゃない
最終的に厚くなるのだから
ずっと癒えずに爛れておいで

安っぽいぬるま湯
しめやかに染めた浴室を
難破した宇宙船に見立て
カビっぽい無重力をたゆたう
ふんぞりかえった私の上で
換気扇がそれらしい音を上げる
それはそれは大袈裟な
ちゃちなSF映画みたいな音を

さようなら、薄羽蜉蝣
さようなら、赤い向日葵
さようなら、昔の昔の風見鶏
私は
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