Above the sky(流転のひと)/恋月 ぴの
 
愛しているよとささやいて
私の心
を盗むあなた

断りも無しにと腹立たしさを覚えたとしても
ある意味期待していたのは確かことで

四十六時中、あなたのことだけを考えていた自分に気付く

はだけたシルク混のブラウスから覗いた
品の無い艶かしさは誘う色合いと
物欲しげな汚らわしさに満ち

いい年した女の言い訳は
深く刻まれた目じりの皺ほどに救われることも無く




それは私であって

鏡に映った姿を忌避しつつも
ありのままから目を背けることは許されえず

いつの頃からか
半ば諦めつつも仄かな期待を胸に抱き

我がままさは生きる力の源泉と開き直っ
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