Above the sky(流転のひと)/恋月 ぴの
愛しているよとささやいて
私の心
を盗むあなた
断りも無しにと腹立たしさを覚えたとしても
ある意味期待していたのは確かことで
四十六時中、あなたのことだけを考えていた自分に気付く
はだけたシルク混のブラウスから覗いた
品の無い艶かしさは誘う色合いと
物欲しげな汚らわしさに満ち
いい年した女の言い訳は
深く刻まれた目じりの皺ほどに救われることも無く
※
それは私であって
鏡に映った姿を忌避しつつも
ありのままから目を背けることは許されえず
いつの頃からか
半ば諦めつつも仄かな期待を胸に抱き
我がままさは生きる力の源泉と開き直っ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(27)