96粒の涙/梅昆布茶
 
一つの魂には多過ぎる涙を君は溜めている

すべての宇宙の悲しみを君は泣く


まるで時間というダムが決壊したようにね

僕は呆れて見ている


愛が欲しいと君は泣く

小さな女の子のように肩震わせてね


やがてキラキラした水晶の海が出来てきみはその畔で佇んでいるし

僕は水源を求めてゆくリビングストン

失われたコードへの夢の門出に立っている


きっと僕たちの乾いた会話にはたくさんの涙が必要なのだね

無名戦士の墓を洗う雨のように

百万回生きた猫のように泣かずにはいられないのだよ


今朝ママが死んだ

君は空色のなみだをながしつづける

祈りを風のなかへ放ち続けるのさ

あふれる悲しみの

96粒の涙をね



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