シーズナル・フィロソフィ/桐原 真
 

最果てまで流れていった

それはまるで、
あまい微睡みのように軽やかで
そうか、
ここは通過点だったのだと気付く



今年の夏は
きっと融けてしまうような日射しで、
うつくしい陽炎とともに
近似という永遠のようなものになるのだろう

夏の行列が遠くまでのびているので、
いつまでも
さよならを言えない


(片手で弾いたラジオから、
かつて世界のものだった音が
流れています)


夢はいつか醒めて
現実もまた、いつかは醒める





爪先で地球儀を蹴飛ばす、水曜日

分かったようなふりと
分からなかったようなふりが、上手なあなたが
秒針が回りきらないうちに、
どこかで笑っている



優しいひとりごとを
歌うようにして




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