シーズナル・フィロソフィ/桐原 真
て
最果てまで流れていった
それはまるで、
あまい微睡みのように軽やかで
そうか、
ここは通過点だったのだと気付く
今年の夏は
きっと融けてしまうような日射しで、
うつくしい陽炎とともに
近似という永遠のようなものになるのだろう
夏の行列が遠くまでのびているので、
いつまでも
さよならを言えない
(片手で弾いたラジオから、
かつて世界のものだった音が
流れています)
夢はいつか醒めて
現実もまた、いつかは醒める
*
爪先で地球儀を蹴飛ばす、水曜日
分かったようなふりと
分からなかったようなふりが、上手なあなたが
秒針が回りきらないうちに、
どこかで笑っている
優しいひとりごとを
歌うようにして
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