虫の女/salco
 
、透明な中にも透明な
コラアゲンの滲出液は、一夜の記憶が形成した胚。
毎夜手首をランプにかざしてあたくしは、胎動が生ずる時を待つ。



十二月二十五日

聖夜。
長血が続いている。血まみれのお蒲団に寝そべって書いている。
食べるのは干葡萄だけ。
嚢胞はピンポン玉の大きさになった。あたくしはどんどん痩せて行くのに、
成長が遅いのではないかしら。真実は、
あたくしが立てる匂い以上の真実がある?
血そのものは、滴る感覚も幻なのかも知れない。だってこれは肉体の悲しみ
でしょう? 絶望も目には見えない。
御返事下さらないのね。貴方は幸せ? あたくしの事は既うお忘れ?


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