月の石(順不同)/吉岡ペペロ
 
鳩が二羽しかいないことをアマリアはあらためて不思議に思うのだった

ここにはカマンヌとスダーイとアマリアの三人がいる

ということは鳩は三羽いなければならないのだった

そんな当たり前のことが崩れていた

そのことをカマンヌには言ったことがある

なんにでも例外はあるというようなことを言ってカマンヌは傷痕に似合わぬ笑顔をみせた

カマンヌとまだ幼いスダーイの鳩はおなじだった

この世にはひと一人に一羽ずつ鳩がいる

アマリアもあれがおまえの宿命なんだよと孤児院で教わった

鏡が光に輝いたような白い鳩がアマリアの鳩だった

カマンヌとスダーイの顔を見つめる

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