本当は「きみ」とも呼びたくないけど、/アルビノ
呼吸になりそうな苦しみと、エクスタシーに似た快感を感じて鳥肌がたった
コツリ、と硬質の靴音がやけに響いた
(それに気付いたのはぼくだけだろうけど)
プラットホームは変わらず騒がしい
のぼりの快速列車の案内アナウンス
きみは携帯電話片手に人差し指で左耳を塞いでる
コツリ、と硬質の靴音がやけに響いた。
たぶん一瞬だということはわかっていた
ぼくにとっても、きみにとっても
これで精算されるのかはわからないけど、
考える脳みそも余ってなかった
白く細いぼくの両腕がやけに力強かった
快速列車は都会を目指して走り抜ける
日常のそれと同じように
精算機の前で財布を開ける感覚
「おつりが来るかもしれない。」
そう、思った
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