十六夜の庭/
石田とわ
十六夜の月の下、夜の庭に釣り糸をさげ
きみと並んで話をしよう
安い焼酎をいつものように飲みながら
この庭を泳ぐものを釣りあげよう
ほうら釣れたようだ
いつか着ていたチェックのコート
きみに薦められた本たち
ビーフシチューのたちこめる香り
そして
あの夜の背すじを伝った甘い疼き
次から次へ釣れる想い出たち
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