わたし/木屋 亞万
 
よるはある
いきぐるしいひるがある
きえてしまいたいあさもある
だれだって
だれだって

わたしだけが とおもうのはやめた
わたしなんか とおもうのも
わたしだって とおもうのも
ぜんぶやめた


こどくになれば
わたしをわたしとよぶひつようがない
ほかのだれともくらべようがない


わたしはわたしだけれど
たぶんわたしはわたしだけではない
わたしでないわたしがたくさんいて
そのどれもがわたしをわたしとよび
わたしとおなじようにわたしをわたししている

だから
じぶんのくらいめんを
そんなにだいじに
かかえこまなくてもいい
せおいこまなくていい
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