千鳥の群 /
服部 剛
国宝館に展示された
古の絵巻に描かれた
松林の青空を
千鳥の群が
羽ばたいていった
国宝館の外に出て、仰いだ
古の都の青い空にも
千鳥の群の
後ろ姿は消えていった
胸中に無数の羽音のざわめくまま
家路に着いて、夕餉の煮物を
箸でつまんで口に入れる頃
ふと、思う
あの千鳥の群は今頃
何処を飛んでいるだろう
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