男とトイレと悲哀/藤崎 褥
ないかね?という気持ちにもなるのである。
しかし、男というのは誇り高き生き物なので、なかなか個室へ行く事は出来ない。
いや、別に本当に大きい用を足したいのであれば堂々と入るのだが、してもないのに「あ、大きいのを放出してきたな。すっきりした顔しやがって、この野郎…」という目で見られるのが非常に切ないのである。
出来ればその場で出会った人全てに「違います、違います。ちょっと疲れたので一人になりたくて」と説明して回りたいくらいだが、それはなかなか出来ないし、トイレへ来ている人々というのは、皆無口なのである。
だから、男は疲れていたり、ちょっと一人になりたくても最大限個室へ入ろうとはしない
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