死期に近づく夜/ホロウ・シカエルボク
死期に近づく夜がある、のさばって、蔓のように
暗闇に絡まるわが身を夢想しながら
古い漆喰の壁がこぼれる音を耳にするような夜が
チェコスロバキアで小型旅客機が墜落して日本人旅行者が何人か死亡したと
夢の中のテレビでニュースが告げていた、彼らの棺からはきっとオイルの臭いがするだろう、これは決して悪意などではない、第一実際には誰も死んでなどいないのだ、もちろんチェコで飛行機の墜落によってということだが
飛行機の中で墜ちていくことや、海の中で体内の酸素を無くしていくことや、集中治療室で蘇生を試みられながら薄れていくことや、あるいは刺されたり、絞められたりして、死んでいくとき
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)