残像/HAL
真のおわりの始まりであって
このおわりから何かが始まろうとする
端緒ではないかと錯誤したことだ
すべてはColtraneの急死が遠い引き金になっていた
誰もが叫び声を挙げ 誰もが挫けた
そして逆らう意思は粉砕された
沈黙と啼かない獣が調教される時が来て
眼には視えない熱の燻りも曠野の果ての果ての森閑の中で
カティンの森の虐殺の様に消失した
発熱したままのものは 近親憎悪で殺される怯えに地下に潜った
破綻が不気味な笑顔を持ち上げ
すべての芸術からメッセージは口を閉じた
’69年
すべてが起点であった年
遅れて生まれた世代には その亡骸だけが
残像の様にか
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