タマゴが産めない/あらら
 
産むこともできないのを分かっていながら
まるで僕たちは身の回りどこを見ても
朝食の食卓やベットの中や互いを思い起こす心の中にまで
とにかく世界中あちこちにそのタマゴを
見つけたかのように振舞っていたに過ぎないんだろうね

あの時僕たちは
切なくなるほど掌の力を抜いて
そっと何かを手渡し合おうとしていたのは
確かなことなんだけど
そんなものもうどこを探しても見つかりはしないし
今となっては僕は君を見つけることだってできやしない
罅だらけのタマゴを見つめている目の前の君を
僕はもうどこにも見つけることなんかできやしない

戻る   Point(3)