ファンキーモンキー/天野茂典
おいしい魚がありました
焼いても煮てもおいしくいただける魚でした
まるで人間に食べられるために生まれてきたような魚でした
誰でもその魚を見れば食べたくなるのは当たり前でした
魚はとんでもないと逃げました 北極海の果てまでも
逃げて逃げて 逃げました もりあがるよううな群れなして
漁船をふりきって逃げました 魚群探知機をはずれ
逃げました とても勇気のいることでした
逃げることは悪いことじゃない 貪欲な人間に食べられるよりは
よっぽどましだ おいしい魚はいま北極海で白熊に食べられています
幾時代かがあり
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