角砂糖/
草野春心
籐椅子に体を沈めて
女が自分の手首を切っている
カッターナイフで
夢心地な眼で
なにか、神聖な
儀式の準備をするように
女が自分の手首を切っている
この部屋はひどく狭い
窓は黙っている
酸素は漂っている
カーテンは震えている
女が自分の手首を切っている
角砂糖を舐めている
思考の透明な塊を
からから、
からから、
上半身の中で転がしている
カーテンは漂っている
窓は震えている
酸素は黙っている
女が自分の手首を切っている
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