『プレーンソング』覚書/DNA
ぼくは小説を読んでも粗筋が書けないし、想いだせないタイプの人間だが、この小説なら3行で書ける。
30男が、猫と競馬にはまり、同じように猫と競馬にはまっているひとびととの日常を語って物語は進行する。
中村橋のマンションに集ってきたひとびとともに鎌倉の海へ出かけて
終わり。
つまり、この小説では粗筋など書いても何の足しにもならない。
例えば常にビデオを回しているゴンタという青年はいう。
「映画ってしゃべっているひとを中心に撮るでしょ。そうすると聞いているほうのひとが何をしているかわからないでしょ。話しているだけでしゃべっている人の動作なんてだいたいわかるでし
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