船/小原あき
 
今日という船が
昨日という川を流れていく

川の水源には産声があり
川の果てには海がある

だから海は
あんなにも大きくて
少し悲しい

わたしのオールは細すぎて
川の流れは遅すぎて
沢山の人に追い越されているのだけれど
これは競争ではないから

人は孤独だという
でも、川は
地から湧き出るもの
海でみな
一緒になるものだから

わたしは孤独でも
自分の力で
船をこいでいくだけだ



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