修身/いっと
 
紐帯は仮宿でしかなく 
目をつむったまま、何かを探り合うには
余りにも危険な場所だったのだ 
インクの染みを
顕微鏡で仔細に分析されながら
如何にあなたが大切かを
零度の言葉でまくし立てる
 
〈あなたによって不幸にも並べられた言葉たちの数奇な運命を悼め〉
 
天体の運行から類推する 
 
足跡を見失う事はたやすい
 
逃げる準備を終えた
 
雨粒を涙に例える 
 
唾を吐く
 
溶けたい
 
模範解答も偏差値も提示されないまま
眩しい世界に連れて行かれた
体の半分が望んでいて
心の半分も望んでいて
だから私の半分から憎まれながら
私は半身を正すように大きくうなずいた
形而上と形而下の間で
たいせつなことを探す旅は続く
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