鏡/……とある蛙
 
る。しかし、空間の端が歪んでくすんだ色彩をしている。縁が丸みを帯びた下駄箱その上の花瓶がひしゃげて刺されている花が枯れている。

酒に酔っているのだろうか。

?

洗面台にある鏡は玄関の鏡の次に大きな鏡だ、

この鏡は自分自身を裏返している。鏡面だけの存在ではなく背景の無い裏返しの自分がいる。

深夜洗面台の前に立つ。鏡の中の見慣れた自分の顔、姿は普段見慣れた顔、姿で何の疑いも無くあちらからこちらを覗いている。

自分が鏡を見ているはずなのだが、鏡面の中の自分がこちらを意識しながら眺めている。奴はあの中でしか生きられないはずなのだから、気にする必要は無いが。

鏡の中
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