眼を背けるということ/
吉原 麻
(噛め はやく噛め そして全て飲みこんでしまえ)
(急げ さもないと捕まる でも何に)
二つの時計の秒針のズレと共に 未曾有の空間にパラシュート着地
明け方の紫の あけるという未来しか待っていない空と
自らの体温の数字よりも 数度強い酒の充満する馨り
十二本の鉛筆を はしから剥く と 香る 黒鉛
背表紙を掴まれて投げられるためにある文庫本の山 と その栞
(見つかった 朝)
(ただしひどく 道徳が乱れている)
戻る
編
削
Point
(5)