今年/salco
去年の九月に赤い薔薇と葬った
人の墓に今日もまた
花の一束と共に言葉を捧げに来た
少女は途方に暮れる
一面の雪の上
去年が埋もれてわからない
地図の無い一日
悲しみは道をしるべを失い
途方に暮れる
すべてすべてが雪の下
花を捧げて額ずく場所がわからない
白兎の臆病な足跡だけが点々と
お砂糖の上であるかのように亦、喜々として
誰もいない地の果てを見るように
まるで吹雪をさ迷うかのように
黒衣の少女は途方に暮れる
こんな日には黄色い空の雀たちも
糧を探し当てられるのか
落穂の恵みを黒い胸に載せていた
畑も不毛を眠る、真白の雪の下
短く柔なくちばしは飢
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