『水脈』/
あおい満月
それぞれの水脈に
それぞれの過去と未来がある
映し出された水鏡の空は
早朝に夕を映すが
愛憎や悲しみや喜びは薄く
まるでそれぞれの部屋のなかで
モニター越しに何かを待っている
それは過去に沈めてしまったものなのか
月夜の晩に
産み落とした始まりの末路なのか
手にしたものたちは
手のひらでゆっくりと眺める
ひとつひとつの物語を
個のなかの水脈に流しながら
必然でも偶然でもない
今日を生きる
二〇十一年七月十四日(木)
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