迷い子(ゴラムに)/
まーつん
たのか
お前のために泣いてくれるものは
いまや雨雲だけとなった
お前の怒りに共感してくれるものは
いまや雷鳴だけとなった
岩間を這い降りる雨水の足音が
お前の心に切りつける思い出の刃先を鈍らせる
枯れ木をしならせる夜風の息吹が
訳せない言葉で異国の物語をささやく
そうしてお前は
孤独の中にもそれなりの慰安を見出してきたというのに
いま残酷にもひと筋の光の矢が差してきた
お前を再び過酷な現実に連れ戻すために
戻る
編
削
Point
(7)