迷い子(ゴラムに)/まーつん
 
たのか
お前のために泣いてくれるものは
いまや雨雲だけとなった
お前の怒りに共感してくれるものは
いまや雷鳴だけとなった

岩間を這い降りる雨水の足音が
お前の心に切りつける思い出の刃先を鈍らせる
枯れ木をしならせる夜風の息吹が
訳せない言葉で異国の物語をささやく

そうしてお前は
孤独の中にもそれなりの慰安を見出してきたというのに
いま残酷にもひと筋の光の矢が差してきた
お前を再び過酷な現実に連れ戻すために

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