迷い子(ゴラムに)/まーつん
 
突然現れた希望が
暗闇の中ですさんだお前の身体を
光の元に暴き出した
お前は頭を抱えてうずくまる
ふしくれた指の間から
針金のような髪が四方八方に飛び出している
かびたパンのような身体にはあばらが浮き
潰瘍が出来て
心は虫に食われて穴だらけ
とうに外界への関心を捨てた双眸が
焦点からそれたまま幻想の中をさまよう
のみで削られたかのように
ぼろぼろになった歯が
干からびた唇の間からのぞく

哀れな迷子(まよいご)よ
お前は転落に疲れて
谷底に住み着いた
賢いつもりだったのか
全ての希望を放棄すれば
失意の不意打ちを避けることが出来ると
そう信じていたの
[次のページ]
戻る   Point(7)