風は親切な友達/たにい
 
春の気だるい午後僕を眠りに誘おうと暖かく吹いてくる おかげで大学の入学式の記憶は全くない

夏の暑い日家の前の露地に打ち水をすればたちどころに駆けつけ気温を下げるお手伝い

ある秋の日の昼下がり彼女と日比谷公園を散歩していると遠くの花壇に咲いている花々の香しい香りを運んできてくれた

晩秋の夕暮れ時二人で神宮外苑を歩いていたら突然路上の枯葉を舞い上げ冬は近いぞ用心しろと警告を残して立ち去って行った

真冬の寒い日近くの公園で焚き火をすれば燃えろ燃えろよ焚き火よ燃えろとばかり獅子奮迅の働き

詩の女神様が偶々降臨して必死に詩作した後は汗ばんだ僕の額を優しく撫でて落着かせてくれる

ありがとう ディアマイフレンド
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