仮面/nonya
 


今にも消えそうな
微笑みを灯しながら

ごめんなさい
ごめんなさい
ごめんなさい

何度目かの
ごめんなさいの後で
何の悪気もなく
すうっと
仮面をはずしたら

濁った酔いの岸辺には
誰もいなくなっていた


<3>

当り前すぎて
孤独という言葉は
使えなかった

一人で在ることは
食事をすることと
同じだった

茶碗と箸だけで
詩を綴ろうとしたけれど
上手くいかなかった

仮面が
必要だった


<4>

格好つけることが
格好悪いことは
君に言われなくても
分かっているよ

でもどうやったって
顔と手
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