自然と自分/純太
 
海を見に来た
レモンイエローが眩しい
無数の砂に混ざる一つの割れた貝殻を海が抱く
破片となった貝殻も
またこの地球上のどこかで冒険を

波の音は小さいほうがいい

汗無き対話で安定を望む者は
洗濯機の中に生と死と喜怒哀楽を入れて
ゴリゴリを感じながら
その空間を見つめながら生きている

中途半端な背理はいらない
例えば晴天の昼間
何もない平原に身を置いた後
半身しか光を当てない太陽があるだろうか
例えば五体満足の人が
砂浜から穏やかな海に入る時
片足しか浸からせてくれない海があるだろうか

自然自体がすべてを抱き
自然を繰り広げている
ゆえに紡がれた言葉や行動に
ただ感謝できる自分は正しいはずだ

枯葉にまつわるすべての音が身に滲みる昨今
コクトーの言葉が廻る
「君の地図の上の
 僕の神秘な通路がどれだかは君が承知だ。」

自分が自分である為なんて停滞なのだ
自分を自分のものにする為に
争い無き世界を祈り
汗ある対話のみの行動を尊び
また明日から新たに歩こう
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