即興(夜空への祈り)/
橘あまね
飛べない魚が
雲の中から這い出してくる
ふるい戦闘機のなきがら
双胴に牡蠣殻のいちめん
酷使されたラジオから
喉をさいて響く歌
あたたかいミルクを呼んで
冷たい夜に泣く子猫
水滴は涙のかたち
夢にみた丸み
枯れた井戸がたたえる
育まれるべきだったもの
日めくりをちぎりとる
指先に記憶して
声になれなかった祈りを
夜明けの方角にかざす
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